●イギリスの護衛駆逐艦
イギリス海軍の護衛艦艇は多種にわたり、護衛駆逐艦の他にフリゲート、スループ、コルヴェット、掃海艇などがあります。
これらの艦種の違いはサイズや速力、或いは用途による物です。ここでは主に護衛駆逐艦を取り上げてみたいと思います。
護衛駆逐艦のハント級は輸送船団の護衛艦拡充の必要性から計画された物ですが、
艦隊型駆逐艦の増勢も必要であったこともありこの艦種としては快速の30ノットの速度を発揮できました。
この当時就役していたイーグレット級やブラック・
スワン級スループは45口径10.2cm連装高角砲4基を備える有力な対空艦でしたが20ノット以下と如何せん劣速であり、
船団護衛に限定するならまだしも第一線任務には向いていませんでした。また、大量生産と言う観点からも低コスト化が図られることとなり、
トライバル級艦隊駆逐艦よりも新しい50口径12cm連装高角砲(仰角50度に引き上げ)の装備は艦形増大が必要となるため、
供給に余裕のあった10.2cm連装高角砲3基を装備することとなりました。また、
長距離護衛に対応できるよう航続力は15ノットで3,500海里とされて基準排水量は900tとなり、
第二次大戦開戦までに18隻の建造に着手されました。 しかし、設計完了を急ぐ余り復元性計算に致命的なミスがあり、
且つそれが発覚したのは1番艦アサーストンの就役間際でした。この時、アサーストンの他22隻が建造の最終段階にありましたが、
アサーストンの改装工事及び公試が完了するまで全艦が建造中断されてしまいます。
アサーストンに実施された改装工事は主砲1基の撤去とバラストの追加搭載などで、
基準排水量は1,000tまで増加した物の公試結果は良好であったため、他の22隻に対しても同様の改装工事が実施されています。
これがハント級I型で、
原計画通り主砲を3基搭載するように艦幅増大などの改正を受けることが出来た起工済み33隻がハント級II型として就役しています。
起工前であった30隻は当初II型同様の装備となる予定でしたが、水雷戦能力を付与された結果主砲1基を撤去して連装高角砲を装備し、
主砲跡には対潜火器スペースとして利用されています。また、30隻の内2隻が完全な新規設計艦(IV型)として建造されています。
これは駆逐艦建造のメッカであるソーニクロフト社からの提案を受けて建造された物で、
排水量の増加もあって10.2連装高角砲3基と三連装魚雷発射管1基を装備しています。 このほか、
アメリカから供与された護衛駆逐艦群もありますが、これはフリゲートに分類(キャプテン級)されており、
また本国仕様とは違って魚雷発射管は装備されていません。
第一次大戦型のV/W級駆逐艦も大小の改装を受けつつもハント級を始めとする新造護衛艦艇就役まで大西洋横断船団などの護衛任務に従事しています。
Uボートの跳梁跋扈する大西洋や北極海では護衛艦艇は何隻居ても足りず、大量生産が実施されますが、この煽りを食って大型艦艇、
特に戦艦の建造は大幅な遅延を余儀なくされ大戦終結に間に合うことはなくなりましたが、
それがイギリスにとって最も賢明な選択であったことは疑いようのない事実でしょう。