某英航空母艦史でも若干触れられていましたが、英大型艦はほかの諸海軍艦と比べるとやや小柄で寸胴です。
同誌の中でもかかれていましたが、これはやや貧弱な造船・整備設備の能力に対応したものだからです。
一例として、イギリス海軍の管理下にある主要なドックの大きさを挙げてみましょう (今回は乾ドックのみ) 。
乾ドック
・デヴォンポート (1939年以前)
長さ:251.46m 幅:35.35m 対応排水量:48,300トン
・デヴォンポート (1939年以降)
長さ:252.98m 幅:37.79m 対応排水量:同上
・ポーツマス
長さ:262.12m 幅:31.39m 対応排水量:44,700トン
・ロサイス 第1 / 第3ドック
長さ:260.29m 幅:33.22m 対応排水量:45,200トン
・ロサイス 第2ドック
長さ:263.34m 幅:33.22m 対応排水量:45,500トン
・ジブラルタル 第1ドック
長さ:266.70m 幅:37.49m 対応排水量:50,200トン
・シンガポール 第1ドック
長さ:306.62m 幅:39.62m 対応排水量:65,800トン
ちなみに第二次大戦期の主な大型艦の全長・水線長・全幅・基準排水量も挙げてみましょう。
・キング・ジョージ五世級戦艦
全長:227.1m 水線長:225.5m 全幅:31.4m 基準排水量:38,031トン
・ライオン級戦艦 (1939年起工時計画案)
全長:239.3m 水線長:232.5m 全幅:31.4m 基準排水量:40,600トン
・ヴァンガード級戦艦
全長:249m 水線長:243.8m 全幅:32.8m 基準排水量:44,500トン
・フッド級巡洋戦艦 (最終状態)
全長:262.3m 水線長:259.2m 全幅:31.4m 基準排水量:43,360トン
・アーク・ロイヤル級航空母艦
全長:243.8m 水線長:219.6m 全幅:28.8m 基準排水量:22,000トン
・イラストリアス級航空母艦
全長:230.8m 水線長:216.6m 全幅:29.2m 基準排水量:23,207トン
・インプラカブル級航空母艦
全長:233.6m 水線長:222.7m 全幅:29.2m 基準排水量:23,000トン
・オーディシャス級航空母艦 (計画時)
全長:245m 水線長:222m 全幅:33.1m 基準排水量:33,500トン
・マルタ級航空母艦 (”X1”案)
全長:270.66m 水線長:不明 全幅:不明 基準排水量:56,800トン
となっています。この中で最大のマルタ級が収まりそうなドックはシンガポール第一ドックだけで、後は長さも対応排水量も不足しています。
フッドが無理なく収まりそうなドックもやはりシンガポール第一ドックくらいのものです。もちろん、民間造船所で整備などを行えることは事実ですが、それは新造計画などを圧迫する畏れがあり、余り好ましいことではありません。
大型艦の全幅を見比べてみるのもまた面白いでしょう。おそらくマルタ級はヴァンガードよりも全幅が大きいでしょうが、それ以外の艦はほぼすべて33m以下・・・更に言えば戦時計画艦以外はすべて31.4m以下となっています。
これは「パナマ運河の幅」による制限を受けた米艦よりも小さい値となっています。造修設備の制約を受けたことは間違いないと言って良いでしょう。十分な幅が取れなかった結果水中防御の弱体化にも繋がってしまい (まぁ設計自体にも問題はあるのですが、元を辿れば同じく「貧乏神の祟り」ですね^^;) ました。
なお、ドックサイズは”Nelson To Vanguard” p.199の記述に依っています。